池井戸潤原作のTVドラマ「陸王」に見る銀行の融資姿勢

 最近のTVドラマで池井戸潤の「陸王」が放送されています。過去には、「半沢直樹」・「下町ロケット」・その他が、放送されいずれも高視聴率を獲得しています。

 今回の舞台は、中小零細企業が、大手企業とマラソン用の運動靴の商品開発競争を描いたものですが、途中で、金融機関の融資話が登場します。
 資金繰りを解決し、最終的に成功することになるのではと期待して観ています。

番組中、特に金融機関の融資姿勢に興味を持ちながら見ています。
 融資担当者と決裁者との話の中で、
 ①将来、成功するかどうか分からないのにリスクをどうするか?
 ②返済が焦付いたら誰が責任を取るのか?
 ③中小零細業者と大手メーカーが競争しても、勝ち目はないのでは?

  等と、決裁者が担当者を責めて、融資話を断るケースが見られます。
「目前の成果」や「安定した見込み」をデータで要求するのはありがちですが、

・全く実績のない新規事業
・特に、起業した経営はどのように判定するのか

と疑問に思います。
  
 池井戸潤はビジネス書も沢山出版しています。お金を借りる会社の心得「銀行取扱説明書」を読むと、元三菱銀行の行員だった経験から、企業に対する与信についての記載があります。
 抜粋すると、
 ・各業界の財務平均値により会社の財務計数が比較される。
 ・融資金額の与信決定権は、支店長・本部が持っている。
   但し、融資担当者の意見が尊重される。
 ・信用調査機関の情報も参考にされる。
 ・新規事業については、どうしても担保重視となってしまう。
 ・最終的には、融資担当者や支店長の「経験」と「勘」が影響する。
   ・資金使途はとても重要。
   ・融資できない時は、出来るだけ速やかに企業に伝える。
 ・主力銀行が必要。困った時の相談相手。
   さらに主力銀行の動向により他の銀行融資が左右される。
  
 内容を知ると、「新しい分野で起業」して融資を受けるのは難しく思えます。
 そう考えると「クラウドファンディング」はとても有効な手段だと思いました。
 最近、金融機関は、効率アップで、人員削減と機械化による業務量削減を目指しています。
 今後、どの様に企業を評価し、融資の審査を改革するのでしょうか? 興味があります。

 さて、このドラマはまだ途中です。その後の展開はどのようになるのか不明ですが。
 視聴者としては、零細企業でも事業にかける情熱(役に立つ)や、夢(トップになる)があり、さらに経営者の人柄(頑張る姿)で応援したくなりますね。