金融庁 銀行カードローンを9月から検査、異例の事前発表
日経新聞の9月1日の記事では、次のとおりに報道されています。
金融庁は1日、過剰な貸し付けが問題になっている銀行カードローンについて、メガバンクや地方銀行などに9月から立ち入り検査をすると発表した。融資審査などの実態を調べ、悪質なら行政処分もする。生活資金などに困る人々らが高金利であっても背に腹はかえられずカードローンを使うケースも多いが、近年の融資額の伸びが異例に大きいことから調査が必要と判断した。貸金業者に適用する貸し出し上限を銀行にも導入するかも焦点になる。
昨年の自己破産申立件数が13年ぶりに増加に転じ、過剰融資への懸念が強まっています。
特に、金融庁は、カードローン貸出残高の急増(既に、銀行の貸出残高は、貸金業者を超えています)には、過剰融資を防ぐ対策が不十分だと見ているようです。
併せて、保証を行っている貸金業者へも立入検査するとのことです。
今回の銀行カードローン検査のポイントは
1)過剰な融資を防ぐ審査体制ができているか
2)債務保証する消費者金融などの審査に依存し過ぎていないか
3)貸し付け後の顧客の状況を把握できているか
4)配慮に欠けた広告宣伝をしていないか
5)過度な業績目標やノルマを行員に課していないか
という報道がされていました。
全国銀行協会も、過剰融資の防止策を講じるよう各行に要請しているようです。そして、会員行の毎月末のカードローン残高をまとめて公表する方針も固めました。公表内容には、預金と貸出金の月末残高を集計と、貸出金のうちカードローンとアパートローンについても分けて公表するとしています。
ただ、一方で顧客の利便性も考えるべきだとの意見もあり、消費者金融並みの規制には抵抗している金融機関もある模様です。
過剰融資の防止という観点で貸金業者へは、年収の1/3以内でしか貸付が出来ない総量規制が課せられています。
金融機関はこの規制の範囲外となっています。
これは金融機関は貸金業者の様な過剰融資をしないということから適用範囲外になっているのではないかと思われます。
ただ、現在は金融機関が受付窓口となっているものの、実際の審査は保証会社(クレジットカード会社、消費者金融会社)が行っており、当初の目論見とは違ってきているのではと感じられます。
公的な規制が必要かそうでないかは議論が必要とは思いますが、現在の金融機関が審査を行わず、保証によりノーリスクでカードローン残高を伸ばしているという状況は是正されるべきではと考えます。