日本郵政グループが地方の金融機関と積極的に協業

 日本郵政グループの地方の金融機関との各種提携のニュースが報道されています。
日本郵政は、全国2万4000店の郵便局のネットを利用して、ゆうちょ銀行(※1)代理業(※2)や、ATMを地方銀行と提携し関係を深めています。
 一方で、地方の銀行にとっても、少子化の進行で、コストを抑えたサービス充実には日本郵政グループとの提携が得策と考えているようです。

 全国地方銀行協会も反対することなく、むしろ「地銀の効率化やコスト削減につながるなら合理的」と好意的で、それぞれの思惑も合致しているようです。
 ただし、金融機関にとっては、ゆうちょ銀行が、一般金融機関と同様の業務(融資業務など)解禁には慎重です。
 ゆうちょ銀行の融資業務については、先日、50万円までの個人向けの無担保融資業務(※3)が認められることになりましたが、住宅ローンやカードローン等の融資業務は認められません。日本郵政グループは各種手数料で収益確保がメインになります。

 収益確保の為に日本郵政グループは、ATMの提携や、地銀の銀行代理店業務、生保との関連業務を進めています。
 特に、過疎地の郵便局窓口の有効活用に力を入れています。主な協業内容としては、
  1)地銀の銀行代理店業務・・・住所や氏名、印鑑の変更やキャッシュカードの再発行窓口設置、ATM提携
  2)生保との関連業務  ・・・テレビ電話の設置により生命保険の一部変更手続きを郵便局で行う。
  3)地元企業を支援するファンドにも複数出資

 一昔前はゆうちょ銀行の業務が民業圧迫と言われていましたが、うまく業務提携して頂いて顧客の利便性が高まれば良いですね。

 注※1)株式会社ゆうちょ銀行
  ・親会社の日本郵政は、政府がなお80.5%の株を握る。
  ・全国2万4000箇所余りに上る郵便局内での窓口業務は日本郵便に委託し、委託先の郵便局(簡易郵便局を含む)の貯金窓口は、ゆうちょ銀行の代理店(銀行代理業務・金融商品仲介業務)として業務を行っている。

 注※2)銀行代理業とは
  銀行のために、
   1)預金又は定期積金等の受入れを内容とする契約の締結の代理又は媒介。
   2)資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結の代理又は媒介。
   3)為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介のいずれかを行う営業をいいます。(銀行法2条14項)。
   ※平成18年施行の改正銀行法により、「出資規制」、「兼業規制」が撤廃された。

 注※3)口座貸越契約の個人向けの無担保融資業務
  貯金口座を持つ人に最大50万円を貸し付ける事業。現金自動出入機(ATM)での現金引き出しや公共料金などの自動引き落としをしたときに口座の残高が足りない場合、不足分が自動で融資される。