子供が生まれてお金を借りた

あれは、二人目の子供が生まれたときだ。
妻の母親から、「今朝、子供が生まれた」と電話があった。
予定より、少し早い。
急いで駆けつけないといけないが、なにぶん、妻の実家は青森県。週末を挟んで有給をとって、帰省することにした。まとまったお金が必要になるので、銀行のカードローンで、お金を借りた。

青森空港に着くと、妻の父親が車で迎えに来てくれていた。
津軽弁がわかりにくいので、会話がはずまない。狭い空間で男二人きりなので、気を遣う。
「上が女の子で、今度も女の子。誠に申し訳ない」と何度も謝られた。
「いいえ、全然、気にしていませんよ。五体満足が一番です」
正直、思春期になって、野太い声で、お父さんと呼ばれるのはごめんだ。

病院で、赤ん坊とご対面。まんまるい顔が印象的だった。

出産に伴う費用は、ひとまず借りた。でも、健康保険から、2ヶ月後に支払われた出産一時金で、全額返した。返すアテのあるローンは、健全なお金の借り方だと思う。

京都市 31歳A(男)