銀行カードローンの金融庁検査報告公表 顧客対応の拡充促す内容

 昨年より、金融庁が、カードローンの融資残高の多い銀行の立入検査を実施していましたが、この度、中間とりまとめの結果が公表されました。

 金融庁発表による改善目標
 〇融資の審査を保証会社依存から自主性へと検討する。
 〇年収証明書提出基準を、50万円超とするよう検討。
 〇融資上限については、他行融資を勘案し上限設定を検討する。
   検討中ですが、各行合計で、年収の2分の1までとする方向になるようです。
 〇途上管理は ・融資実行後の年収証明書の取得を検討する
        ・顧客相談対応の拡充を行う事。
 〇広告については、貸金業者の自主規制ラインと同水準にする。

 今までは各行が個別に対応していましたが、金融業界で統一するよう改善を求められたようです。
報道としては次の様な伝え方になっていました。

カードローン、顧客対応の拡充促す 金融庁検査の中間とりまとめ
 金融庁は26日、銀行カードローンに関する12行への立ち入り検査の中間とりまとめを公表した。業界が自主規制を敷いた後も、5行が利用者の収入や勤務先の変動を十分確認していなかった。3行は利用者の返済能力の審査体制を整えていなかった。金融庁は各行に顧客相談窓口の拡充を促し、多重債務の抑制に向けて引き続き監視する。
 銀行カードローンは低金利を背景に残高が増加。過剰貸し付けによる多重債務の温床につながりかねないとの批判が国会などで出ていた。金融庁は2017年9月に検査に入った。対象はメガバンクや地方銀行などローン残高が多い12行。顧客の状況変化の把握、融資審査の体制、広告宣伝の方法などを中心に調べた。
 自主規制後も、7行は他行からの借入額を含め年収2分の1まで融資上限枠を設定していた。うち5行は検査後に他行融資も踏まえた上限枠の設定を検討中とした。また、顧客からの相談窓口で返済期間の猶予などに対応していたのは5行にとどまった。金融庁は12行全てに「対応が不十分」として改善を求めた。
2018/1/26日経新聞

 貸金業者との大きな違いは、
 貸金業者の融資残高合計が、年収の3分の1まで貸金業法で決められていることです。
 貸金業者と金融機関で、融資限度額が違うというのもおかしなことだと思いますが、カードローン市場の健全化が進めば歓迎すべきことです。

一方で、先般の、全銀協の発表では、銀行・消費者金融・クレジットカードと業界をまたいだ利用者も存在します。情報センターの一元化も必要なのではと思います。
ただ、一部の金融機関の対応から、破産者が増加しているといった報道もある様です。

個人の自己破産、前年比6.4%増 カードローン影響か
 最高裁がまとめた2017年の個人の自己破産申立件数(速報値)は、前年比6・4%増の6万8791件で、2年連続で増えた。伸び率は16年(1・2%増)から大幅に拡大した。自己破産は16年から前年比増加に転じ、ペースが上がっている。ここ数年で貸し出しが急増した銀行カードローンの影響もあるとみられる。
2018年2月13日朝日新聞

銀行のカードローンの影響なのかどうかは分かりませんが、そういった風に考えられているということは金融関係者は肝に銘じておきたいものです。